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概要

衛星データを用いて、カザフスタンにある世界有数の油田「テンギス油田」の地盤変動を解析しました。Synspectiveの衛星データソリューション「Land Displacement Monitoring」(LDM)では構造物に関連した地表面・地盤の継時的なモニタリングや地滑りなどの地盤リスクを広域・面的に理解することが可能です。

 

想定活用場面

衛星から油田を観測し地盤の変化を監視することにより、油田での採掘状況のモニタリングや圧入による地盤の変化を時系列的に観測することができます。さらに採掘サイクルをマネジメントし、異常がないかの点検にも役立つと考えられます。また過去の石油生産量と組み合わせることによって、石油やガスの生産量を推定することも可能です。それによって今後の石油価格を予想する目安になりえます。

 

解析結果

約2年間分の衛星画像を解析して時系列の地盤変動を検出した結果、採掘エリアの広域で沈下傾向がある場所が示されました。

analysis result image

©Mapbox ©OpenStreetMap Improve this map | ©Copernicus Sentinel data [2014-2021] | ©Synspective Inc.

LDMで検出された変動点が地図の上に表示され、色付けされている各点はそれぞれ時系列の変動量が記録されています。白を基準に赤が濃くなるほど沈下傾向、青が濃くなるほど隆起傾向を示しています。採掘現場の中心から円状に沈下が広がっており、採掘現場の範囲、進捗を確認することができます。なお傾向が大きい箇所では1年間で数センチ程度の変動が見られました。

 

メリット

テンギス油田をLDMを用いて確認したところ、地盤の変動傾向が判明しました。この結果を用い、以下のような場面でも活用が可能です。

  • 地上施設への影響観測
  • 圧入及び生産戦略の最適化支援
  • 油層管理コストの削減
  • 点のセンサ点検等だけでは掴めない面的な変動の兆候把握
  • 常時監視によるアラートの発出

 

ソリューションの特徴

  • 垂直/水平の四方向のミリオーダー級の変動傾向の解析が可能
  • 世界中の複数現場を同時に広域監視し、過去から現在までの経年変化の把握可能
  • InSAR*解析技術システムの活用
  • 日本初の空間的変動と時間的変動を掛け合わせた陥没可能性検出技術
  • 人による確認や解析が不要な自動解析
  • 直感的なユーザーインターフェース
  • PDFレポートでの出力

*InSAR – Interferometric SAR(干渉SAR)の略。高精度で土地の変位を検出するSARデータ特有の処理技術の一つ

 

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